(その171)男性に出費も限界…でも…危険が一杯で大いに心配です
2019年12月発行
11月中旬宮前区に住むMさんが、相談したいと訪ねてこられました。
所長がお話をお聞きますと10月初めに出会い系サイトで知り合った男性と付き合い始めたが、名前とガラ系の携帯番号は教えてもらったが住所はわからないということでした。その彼にスマホ3台とクレジットカードをMさん名義で作らせられ、更にサラ金も契約させられて1ヶ月半で90万円も出費しました。すぐにスマホ3台とクレジットカードを解約したということでした。
そのうえで母親に事情を話して11月15日に60万円を支払ってもらったがこれ以上払えないと怒られたと話してくれました。
弁護士をと思いましたがお金がないというので消費者センターに同行してこれまでの経過を詳しく話したが、「民民」の問題であり消費者センターでは対応できないので川崎市の無料法律相談を紹介されました。
弁護士さんは「恋人同士となると警察が動くのは難しい。対策としては相手に合意書を書いてもらうしかない。合意書があれば裁判でも警察でも通用する」と助言されました。
その後、毎日連絡は取れるようになり「彼はそんなに悪いとは思っていないし謝っています。16日にはすべてがわかると思いますがおそらく相談しても変わらないと思います」と心が揺れ動くメールが来ました。
相談センターの法律相談を紹介しましたがMさんから「彼から毎月15万円ずつ返してくれるというのでもう一度信頼してみます」とのメールが来て法律相談も断ってきました。
今後見守るしかありませんが危険一杯で大いに心配の残る相談でした。
(その170)つながりを活かして、相談に対応した2例です
2019年11月発行
その①
浜町に住むKさんが相談に見え話を聞いてみますと平成17年石巻市に住む知人のNさんに50万円貸しました。
遠いこともあり石巻に住む甥のOさんに代理で集金を頼みました。毎月1万円ずつ返してもらう約束をしていましたが1円も
返金されないので、Nさんに催促したところ24万5千円の領収書が送られてきました。
甥が全部使いこんでいることが判明しKさんが甥のOさんに催促しても一向に連絡がこないので、所長が内容証明で督促状を
出し9月中に返事が来ない場合法的措置も含めて検討するとしました。
9月中旬、所長が石巻に行き知り合いのM宮城県議にNさんとOさん宅を訪問するので案内を頼んだところM県議が川崎の
人が直接訪問するとまとまる話もまとまらないのでM県議が訪問してNさんとOさんを調査し後日報告するということでお願
いしてきました。
その②
渡田新町に住むSさん7月初旬仕事中に転落して左股関節骨折と脳挫傷で幸病院に入院していたが、8月1日からAOI七沢
リハビリセンターに移った。婦人が2日か3日に一回面会に行っていたが遠くて体の調子が悪く交通費も高くつくので近くの
病院に移れないかとの相談が来ました。
最初S夫人は夫は組合の委員長をしていたので現在の状況は組合員に知られたくないと思い込んでいたが、4人の組合員が
AOIに見舞いに来ていろいろ話したら夫の症状が良くなり、「みんなに来てもらうと刺激になり回復も早くなりそうだと考え
直しました」と再度見えましたので、所長は協同病院にお願いして10月3日に転院出来ました。
S夫人は「近いところに入院できて本当に助かりました」と笑顔でお礼に見えました
(その169)苦労の多いご家族、任意後見契約で元気が
2019年10月発行
7月末高津区在住のMさんが、日進町にある障がい者自立支援作業所“まごころをここに”の紹介で相談センターにみえられました。「障がいのある娘2人のことで自民党の県議に何度か相談したことがありますが、今日は断られた長女のことでお話聞いていただけますか」と遠慮深く話されました。
Mさんの夫は脊髄損傷、次女と三女も障がいがあり、大変ご苦労されているご家庭です。「長女は結婚して千葉に嫁ぎましたが、事故で高次脳機能障害になったら追い出されて実家に戻ってきてしまいました。不憫な長女をいま家に引き取り面倒をみていますが、長女の夫は生活費を払わないどころか長女と離婚して再婚したいと勝手なことを言っています。さらに貸した200万円も返さない状態で本当に困ってしまい、法テラスの弁護士に相談したら『法定後見人を付けなさい』と言われました。 赤の他人である法定後見人では思いやりをもって高次脳機能障害の長女と接してもらうことができるか不安です。長女と意思疎通がうまくいかない他人を挟んで今後調停をどう維持していけばいいのか。母親である自分が任意後見人になり、長女の代理人として調停に出席出来ないでしょうか。無責任な長女の夫を相手に調停で交渉を進めるために、どうか力を貸してほしい」というものでした。
所長は長女と面談し、たしかに高次脳機能障害の影響で言語障害や姿勢の維持、歩行などに困難がみられましたが判断力はしっかりしていました。これなら任意後見で対応できそうだと判断し、Mさんと長女を励まし、公証役場にも事情を話して、8月下旬にMさんと長女の任意後見契約が成立しました。
二人は「相談センターのお陰でとても助かりました」と喜ばれました。これから長女の夫との調停や裁判になってもMさんが長女の代理人として親子で力合わせて頑張れるスタートに立つことになりました。
(その168)ある相談者の生き方に寄り添い感激ひとしおでした。
2019年9月発行
秋田で農家の長男として生まれたSさんは、定年後に足のケガで働けなくなり川崎で生活保護を受け簡易宿泊所で生活していました。2011年3・11、管理人とトラブルとなり私(当時市議兼務)に相談にみえました。私の地元の後援会事務所に住んでいただきながら、体調と相談しながら後援会活動にも尽力いただきました。
64歳になってけがも治り、経験を生かし川崎区の大企業の食堂の仕事につき責任者になり5年間働きましたが、今年3月初旬体調を崩して働けなくなり、4月5日入院し治療に専念しましたが7月28日午後、間質性肺炎で永眠されました。最期を悟ったのかマンションの退去手続きをしてと頼まれ7月14日に片付けました。3月に退職した関係で前年度より収入が大幅に減収となるので、国保料と住民税の減免申請し受理されました。7月5日入院している病院の相談員からSさんに任意後見人を付けてと要請され7月12日に公証役場の人に出張してもらい契約して所長がお金の管理と、病院への支払い、葬儀費用も預かりすべて払い終わりました。
秋田の弟妹に連絡したところ3人が川崎に来られ、八丁畷の友人7人も参列し、7月31日故人の希望で直葬を行いました。
病院や葬儀の費用、アパート代等どうしょうと困っていたが仲間の皆さんが全て執り行っていただき助かりましたと感謝されました。Sさんはすべて計算して必要なお金を準備して誰にも迷惑をかけることなく旅立ってゆきました。ご遺骨は弟さんが持ち帰り秋田で葬儀も行なったと連絡がありました。
しんぶん赤旗のお悔やみ欄を見た富山の大先輩で11期町議を務めた方から、Sさんの喪主が宮原春夫となっていたのを見て「このように奥深く信頼されお世話なされるくらしの相談に感謝の念募るのみです」とのお便りを頂きました。 宮原春夫
(その167)ネットワークの力でHさん一家の相談に対応
2019年8月発行
2018年11月に、しんぶん赤旗読者Nさんから「職場の同僚のHさんが『血圧が高くて体調が悪いけど、お金がなくて病院に行けない』と言っている。片柳さん、相談に乗ってあげてくれませんか?」と連絡がありました。Hさんご本人に話を聞くと、相当高い血圧で危険な状態にもかかわらず、国民健康保険料が払えていなかったために通院できていないとのことでした。
すぐに川崎協同病院やふじさきクリニックで「無料低額診療」を行っていることを紹介し、ソーシャルワーカーさんにも連絡。医療を受けられることになり、その後生活保護制度も利用できるようになりました。さらに夫の不当解雇や、国保が払えない状態だったために口座が凍結されてしまうなど様々な問題が次々と噴出、一つひとつクリアしながら生活を立て直す方向にすすめていきました。
年が明けてから、Hさんご夫婦から「我々夫婦と持病のある20代の娘の3人で14㎡のワンルームの部屋に暮らしている。もう少し広いところに転居したい」という切実な訴えがありました。くらしの相談センターの専門相談員としてご協力いただいている中央プランナーさんにも力になっていただき、2DKの部屋に転居もでき生活再建へ大きく進めることができ、「本当に良かった」とHさんご夫婦は大変喜んでいました。
しんぶん赤旗読者の方から「困っている人がいる」との連絡があり、相談センター所長代理である市議の私、ふじさきクリニックの相談員の方、中央プランナーさんという、川崎区のネットワークのどれか一つでも欠けていたら、Hさん一家の相談はうまく進まなかったと思います。こうしたネットワークを広げて、安心して暮らせる川崎区にしていきたいと思います。
所長代理 片柳すすむ
(その166)相談事例から見る最近の土地・建物売買の注意点
2019年7月発行
くらしの相談センターも開設16年になりますが、当初から、皆様の悩みや相談に携わってまいりました。
この16年間に川崎の街も時代の変遷とともに皆様の相談も変化してまいりました。
土地・建物の相談も設立当初は田舎にいる子供と一緒に住みたいから、川崎の土地建物を売却したいと言うケースや、借地権の更新について教えてくださいといった事例が多く見受けられました。
最近は高齢化がさらに進み、本人が土地・建物をどうしたら良いかわからないといった相談が増えてきました。相談を受けた事例で、最近の売買に関わる問題を考えてみたいと思います。
①、相談の発生後に相続人から土地・建物を売却したいという相談がある方からありました。
まず相続登記の依頼を司法書士さんに依頼しましたが、相続人が20人余り全国に散らばっていて、同意が取り付けにくく、
売却まで時間がかかりました。このような事態が起きる前に家族と相談して生前に売却することをお勧めします。
②、土地・建物を売却しようとすると、ご本人が認知症になっていて、売却について成年後見人の選定が必要と考え相談に来る
例が増えています。くらしの相談センターでは元気なうちに早めに任意後見人の制度をご利用されることをお勧めしていま
す。この制度により、家族やお子さんとも相続前に十分対策を考えることができます。
③、最近では高齢化が進んでいる時代を反映してか、借地権をお持ちの方から借地権を返還したいとの相談も増えてきました。
知らない方は、地主さんに借地権をそのまま無償で返してしまうケースもあります。借地権は譲渡できますので売却できる
場合が多いです。
迷ったら遠慮なく、くらしの相談センターに来てください。
(その165)悩んだ末の相談でスッキリしました。
2019.6発行
4月下旬、日進町に住むSさんが酔っぱらって所長の自宅へ「話を聞いてくれ」と見えました。
「妻は89歳で岩手県出身、自分は79歳熊本生まれで、年金は2人合わせて月26万円位、子供がいないし兄弟も遠くにいますが
疎遠になっているので何かあったらと考えると心配で夜も眠れない」と泣きながら話を始められました。
とりあえずその夜は帰ってもらい次の日の朝、所長がSさん宅を訪ね、昨晩の話を再び聞くと「貯金はわずかしかなくお世話をしてくれる人がいないだろうか」という相談でした。 委任・任意後見・死後事務委任契約の3点セットを説明して「奥さんと相談しておいてください」と話して帰りました。
連休明けの5月7日にセンターに来ていただいて、再度詳しく任意後見制度の説明をし「信頼できる人がいなければ私が受任者になりましょう」と所長が後見人を引き受けて公証役場で契約しました。
Sさんは「お金もないし恥ずかしくて誰にも相談できず悩んでいましたが思い切って相談センターに駆け込み受け止めていただきようやく安心して眠ることができます」と、とても喜んでくださいました。
(その164) 住まい・暮らしが解決、皆さんの励ましに勇気が
2019.5発行
日進町に住むOさん(77歳)は夫の障害年金と自分の働きでやっと生活してきましたが昨年10月夫に先立たれ、葬儀費用20万円を会社で借金し毎月5~6万円ずつ返してきました。 2月病院の検査で大腸がんが見つかり2月末で退職せざるを得なくなったので生活ができなくなりました。生活保護を受けたいと八丁畷の事務所にみえられました。
早速日進町のIさんがOさんに同行し川崎福祉事務所に行きましたが、勤めていた会社の給与支給方法が毎日5,000円を前払いし,毎月15日締めで翌月10日に残りを支払うため、実際手元にお金がないのに2月の収入が保護基準をオーバーするとの理由で却下されました。3月に所長が福祉事務所へ同行し再度申請して生活保護の受給が決まりました。そしてすぐに保護課のケースワーカーから家賃5万3700円以下のアパートを探すよう言われました。
Oさんは4月15日入院、17日に手術が決まっていたので、所長は知り合いの大家さんに緊急を要するのでと頼み込み4月11日に引っ越して13日に残置物を片付けることができました。そして、手術も無事に終わり順調に回復し4月30日に退院しました。
Oさんは「相談センターのおかげで短期間に住まいのこと、暮らしのことがすべて解決し安心して入院ができます」「毎日事務所で炊き出しをして、みんなで寄り添って励ましてくださりとても勇気づけられました」「こんなに心の温かいグループがあることを初めて知りました。仲間に入れてください」と。
八丁畷の仲間から「地方選挙では、毎日活動に参加してくださり実務能力抜群の仲間が増えて仕事で培った経験を活かしていただき楽しい選挙ができました」と皆で喜び感謝の気持ちを語っていました。
(その163)知恵を集めて父母の離婚を回避し、娘3人で新たな介護スタート
2019.4発行
12月年の瀬も押し迫った時、川中島に住むWさんが相談に見えました。
Wさん姉妹の母は30数年前、離婚して一人娘がいるOさんと再婚しました。
現在Oさんは(90歳)認知が進み始めて年金は2ヶ月で30万円弱、母は(85歳)
15万円弱、2人とも津田沼の老健施設に入所しているが年金だけでは入所費用は賄えないので、離婚させて母を川崎に引き取り財政的に援助したいという相談でした。
1月中旬に両方の娘さん3人で話し合いをし認知がより進んでいる父には法定後見人をつけ母にはWさんが任意後見人になる方向で進めて行くことで合意したがこれでいいでしょうかと1月下旬、今後の手続きなど教えてほしいと頼まれました。
所長は老健に入所している父と母の認知度を確かめる必要があるので2月初旬津田沼の老健に行き父母それぞれと面会したところ二人とも十分判断能力があり、母にはWさんが、父には、Mさんが任意後見契約の受任者になり公証役場で契約することにしました。また離婚すれば遺族年金をもらうことができなくなるので籍を入れたまま母を川崎の施設に移し、年金だけで不足する費用は両親が住んでいた津田沼のマンションを賃貸に出して賄えばよいのではと提案しました。
3月中旬に不動産屋と片付け業者と一緒に津田沼のマンションの見積もりに行き
賃貸料とリホーム費用を算出して不足分が賄える見通しとなりました。併せて川崎区の日の出のグループホームを見学しWさんはとてもいいところだし母も喜ぶことだろうと、申し込むことで3人娘で相談中です。
Wさんは,このことがきっかけでこれまで疎遠だった3人の娘がよく連絡を取り一緒に話し合うことで仲良くなり、父母の離婚という最悪の事態を想定していましたが、それもなくなりさらにマンションを賃貸にという知恵と見積業者を紹介して頂き、3人の娘だけではとても前に進めなかったことが解決しそうでとても感謝していますと笑顔でお礼に見えました。